■ BARの持つ力。

★カテゴリー< 【コラム】BARで飲んで考えて >にアップしている文章は、スペインとワインが好きな人々の会「スペインワイン COPAの会」に掲載中の連載コラムです。

スペインのBARは、どんな力を持っているのだろうか?
十数年前から度々スペインを訪れ、そしてBARで飲んで食べている。今年は、スペイン各地のBARを巡るために、東西南北を慌しくまわる旅に出た。そんな、BARに魅せられた私が常々感じている“BARの持つ力”には、魅力・吸引力・人力・底力の4つの力がある。そして、その全てが揃ったと感じたときに、“ああ、これがBARだ!スペインのBARなのだ!”と、自分がBARという時空間の中に存在していることに喜びを覚えるのである。今回は、その“BARの持つ力”について書こうと思う

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●BARの持つ力1・・・“魅力”
BARが飲食店である以上、その魅力は何と言っても、食べ物と飲み物だ。そして、食べ物といえば、タパ(複数形でタパス)である。食べたいものを少しずつ口にできるタパ、星の数ほどあるBARが出すそれぞれの自慢のタパ、何軒ものBARで食べ歩くタパス。タパがなければ、これほどまでにBARに惹かれたとは思えない。そして、ビールにワインなどなど、タパとともに楽しむ食酒。加えて、忘れてならないのが、カフェの存在である。カフェ コン レーチェにトスターダ デ トマテの朝食・・・。ああ、幸せ。

●BARの持つ力2・・・“吸引力”
BARの吸引力は、その気軽さによるところが大きい、と思う。BARは、【いつでも】・・・朝から晩まで、たとえ懐の具合が少々悪かったとしても、【どこでも】・・・大きな街でも小さな村でも、高速道路のサービスエリアにも長距離列車の中にでも、【何でも】・・・アルコールでもノンアルコールでも、空腹時でも少量でも、【誰でも】・・・男でも女でも、高齢者でも子供でも、飲める人でも飲めない人でも(その二人が一緒でも)、たとえ東洋人(外国人)である私が一人でも、【どのようにでも】・・・カウンターで立ち飲みしても、テラスのテーブル席に座っても、サッと一杯飲みたいときでも、ゆっくり話しながら飲んで食べたいときでも、気軽に自由に楽しむことができる。この気軽さを欠くと、BARではなくなってしまうのではないだろうか。

●BARの持つ力3・・・“人力”
BARのカフェ抽出機は、全自動式があまりなく、ポルタと呼ばれる挽いた豆を入れる器具をガツンガツンと・・・、という人力(ジンリキ)ももちろん楽しさの一つであるが、ここで挙げる人力(ヒトヂカラ)は、そこに居る人々の持つ力のことだ。個性ある店のオヤジ、そしてカウンターを挟んで存在する、高齢者から子供までの幅広い老若男女の客。この両者の存在が、それぞれの店の個性を作り出している、と思う。BARは、飲食の空間であると同時に、コミュニケーションの機会を供する人々の居場所でもあるのだ。

●BARの持つ力4・・・“底力”
BARの底力は、スペイン人がBARに足を運ぶ習慣を愛して止まないこと、である。彼らがそう思っているかどうかは別として、暇なら街に出る、街に出ればBARに行く、といったように、BARに行くことが日常生活の中で習慣となっていることに、BARの底力を感じるのだ。

本稿のタイトルは、“BARの持つ力。”である。初回から力が入りすぎかな、とも思いつつ、自分自身が“なぜスペインのBARに惹かれるのか?”の自問自答も兼ねて、こんなタイトルで書くことにした。そして、この提起によって、この文章を読んでくれた方から、こういうのもBARの持つ力ではないか、というレスポンスがあることを密かに(?)期待している。
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■ パンプローナPamplona/イルニェアIruna*

パンプローナPamplona(バスク語でイルニェアIruna*)のBARバルはいい。
ナバーラ地方Navarra産のワインは、これまで自分が美味しいと思ったものが多い。パンプローナPamplonaに行こうと思ったのは、そのナバーラの州都だからということと、あの有名な”サン フェルミンSan Fermin”(牛追いが行われる祭り)で牛が駆け抜ける路地のBARで一杯飲むのもいいな、という程度の理由で、それほど大きな期待を持たずに訪ねたのであるが、パンプローナのBARはとてもよかった。

まず、偶然に入った一軒目のBARが、それだけでパンプローナの印象がよくなるくらいに、ピンチョスが美味しかった。そして、広場のテラスで午後の一杯をのんびりと楽しむ人たちを目にし、数軒のBARを飲み食べ歩くうちに、この街がすっかり気に入った。

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食べたピンチョスは、どのBARも各店の趣向を凝らした特徴のあるものばかりで、 あれこれ食べてみたくなる上に、次のBARまた次のBARへと食べ歩く意欲が大いに湧いてくるのである。

●パンプローナで食べたピンチョス/タパス
セタス ア ラ カルボナーラSetas a la Carbonara(キノコとベーコンのカルボナーラソースをかけたパイ)、チストラChistorra(ナバーラ地方のロンガニサのパイ包み揚げ)、トマトのキノコ・ピーマン・玉ネギのマリネ詰め、ロックフォールチーズのソースをかけたアスパラガスのフライ、クリームコロッケ、卵とエビの薄皮包み揚げ

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加えて、パンプローナを訪問した日には、”セマーナ デ ピンチョSemana del Pincho”(ピンチョ週間)が開催されていた(2008年の開催日程は4月5日~13日)。このイベントは、街中のBARやCAFÉなどが自慢のピンチョを提供して味を競い合うというもので、パンプローナの街で80軒、ナバーラ県全体では102軒の店舗が参加。そのうち3軒のBARに入って次のピンチョスを口にすることができた。

・Timbal de bacalao confitado con escalibada + Delicias de iberico con salsa de setas(写真)
・Delicia del Piquillo de Lodosa “Costa Brava” + Volcan de marisco
・Solomillo tropical + Aromas de alcachofa

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いずれもピンチョ2品が1枚のプレートに盛られて出され、通常のピンチョよりも手の込んだ”料理”であったように思う。

飲んだのは、ビールcervezaを1杯と、赤ワインtintoを3杯、ロゼvino rosadoを2杯。それにカラヒージョ(ラム酒ronを入れたコーヒー)を最後に1杯。スペインではあまり見かけないロゼであるが、パンブローナではロゼを楽しむ人が多く見受けられた。

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翌日の朝食ももちろんBARで。カフェ コン レーチェとカラコレスcaracoles(カタツムリ)と呼ばれていた巻き型のパン。

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★パンプローナの1コマ***************

旧市街が丘の上に位置するパンプローナは、新市街との間に”段差”がある。写真はその段差を自由に昇り下りできる斬新なデザインの”公共エレベーター”。他に、ヨーロッパの各地で広がり始めた街中で乗り捨て可能なレンタル自転車などもあり、人が暮らし、人が動くことをアシストしてくれる”公共”の存在に、あらためて都市の魅力を感じました。

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*Irunaのnは”エニェñ”。

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